宿坊に泊まる(下北半島・恐山)・前編
今週一週間はまるまる夏期休暇で仕事はお休み。
この夏期休暇を利用して
今週の火曜・水曜に一泊二日で
青森県の下北半島にある恐山に行って来たのだが
その際,宿泊先として恐山・菩提寺の宿坊を選んだ。
宿坊というのは
寺院や神社が設けた宿泊施設のこと。
本来は関係者が宿泊するためのものなのだが
一般向けの宿坊を設けている寺院も多い。
観光地にある寺院・神社の一般向け宿坊は
観光シーズンであっても空いていることが多く
意外な穴場ということで
ここ数年,静かなブームを呼んでいるとか。
(そのせいで段々と穴場ではなくなりつつあるらしいけど。)
以下,
私が今回利用した恐山宿坊のリポート。
恐山は大湊線・下北駅から
恐山行きのバスで45分ほどのところにある。
終点・恐山の直前にある「三途の川」の橋が見えてくると
バスの車内にまで硫黄のにおいが伝わってくる。
大昔に噴火した火山のカルデラの中に
恐山の霊場があるためだ。
そこから1分で恐山に到着。
入山受付所のすぐ脇では
「合掌霊場アイス」なるものが売られていた。
非常に興味があったのだが
到着した当日は肌寒いくらいの気温で
アイスを食べることは断念。
受付で入山料500円を払って
境内・霊場内に入った。
(宿坊宿泊者も入山料は別途必要)
ところで
恐山と言えば
イタコを思い浮かべる人も多いと思う。
実際,私が行く一週間前まで開催されていた
恐山大祭(7月20日から24日)の期間中は
霊場の中でイタコの口寄せが行われ
多数の観光客でにぎわっていたそうだ。
しかし
私が行った8月1日は
その直後ということで
口寄せを行うイタコの姿はなく
観光客すらまばらな状態だった。
というか
観光客が少ない時期を狙って
あえて恐山大祭の直後に
宿泊することにしたわけなのだが。
総門をくぐった後
まずは宿坊で受付を済ませて
今夜宿泊する部屋に向かう。
左が宿坊の外観,右が部屋の様子。
新しくて綺麗なのに驚く。
4年前に立て替えられたばかりだそうだ。
部屋は15畳と4畳半の和室二間,
トイレと洗面所付き。
トイレと洗面所は別々の小部屋。
高級な和風旅館と同じである。
旅館との違いは
案内をしてくれるのが典座のお坊さんであること,
テレビがないことくらいか。
ちなみにこれで
一泊二日二食付きの1万2000円である。
チェックインの後は
霊場を廻った上で温泉に入った。
そう,
恐山はカルデラ内にあるので
温泉があるのだ。
霊場の様子については
別記事で触れることとして
ここでは恐山温泉の様子を紹介しよう。
恐山・菩提寺の境内の中の温泉は
宿坊内に1ヶ所,外湯が4ヶ所(男湯2,女湯1,混浴1)。
外湯は入山料を払えば
宿坊宿泊者でなくても無料で入ることが可能。
最初に入ったのが「冷抜の湯」。
外観は山小屋みたいだが
中は清潔に掃除されており,
虫一つ落ちていなかった。
自分以外に入浴者もおらず
貸し切り状態。
時節柄なのか
「源泉の温度が高いので加水しています」
との表記。
にもかかわらず,
温泉の成分がとても濃いし,お湯の温度も高い。
次に入ったのが「薬師の湯」。
やはり貸し切り状態。
ここは更にお湯が熱かった。
後で典座の僧の方に話を聞いたところでは
その日の天候により温度は大きく変わるそうだ。
外湯はこの他に
「古滝の湯」と「花染の湯」があるが
湯にのぼせそうになったので
外湯はここまででやめておいた。
ちなみに
「花染の湯」は混浴。
お寺の境内に混浴の湯があるのは
ちょっと驚き。
外湯に入浴した後は
宿坊に戻り
午後6時から大食堂(だいじきどう)で
宿泊者全員が一堂に会して
精進料理の夕食。
ここで判明したのだが
当夜の宿泊者は
私のところと5人で宿泊にきた家族の
2グループのみだった。
優に100人以上は収容できそうな大食堂は
がらがらの準貸し切り状態。
典座の方の指導で
「五観の偈」というのを唱えてから
料理をいただく。
宿坊に宿泊していることを実感させられる。
料理の方だが
精進なので魚肉はないものの
質,量とも十分すぎる内容だった。
食べきれずに半分弱残したほどである。
写真で分かるとおり
デザートのメロンまで付いていた。
夕食後,
午後7時から同じ大食堂で
お寺の院代(住職代理)による
法話があると聞かされる。
自由参加なのだが
2グループしか宿泊者がいないので
行かなかったらバレバレ(笑)。
ま,せっかく宿坊に泊まったんだし
有り難いお話を聞きに行ってみましょうかね,
ということで
時間どおりに大食堂に向かった。
(長くなったので,以下は後編に続く)
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